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神戸→南森町→駒沢→築地… 居酒屋住宅ができるまで。
7月7日(土)
明け方、あまりの寝苦しさに窓開けてゴロゴロしてたら、すぐ外で足音がした。(1階だから)
外を見たら、おっさんらしきトレパン姿の運動靴を履いた足が見える!
その足は(上半身はブラインドに隠れて見えない)うちの前で立ち止まって、じーっとこちらを伺ってるようで、気持ち悪い。
うちの前、袋小路なのに。
すぐに窓を閉めて、ブラインド下ろしたけど。
恐かった・・・

というわけで、引越しを考えはじめた。
それで、第一候補が築地。やっぱり築地市場でしょう?
大阪の天満市場常連だった私は、スーパーではなく市場。
これがないと生活してるっていう気分が出ないのかもしれない。
それとも里心がついちゃってるのか!?

7月14日(土)
何年か前に東京へ来た時、木場から東京駅へ向かうバスで築地を通った。
たった一度だけだけど、その時の印象がとても良かったから。

そして今日。行ってた。
善は急げだ。

築地駅に着いたら、ものすごい暑さで、一息入れようと思ってドトールに入った。
”ここが築地かぁ”とカウンター越しに外を眺めてたら、野球帽をかぶって頑丈な自転車に乗ったおっちゃんとか、
お魚が入ってそうなビニール袋を持った夫婦連れが前を通る。
おおっ、この雰囲気はっ!と一気にテンションが上がり、いよいよ本命の築地市場へ!
この暑い中、場内をウロウロ〜ウロウロ〜。
あの雰囲気が、もうたまらないくらい好き。
鉢巻締めたおっちゃんとか、呼び込みの声とか、長靴とか、裸電球とか、とか、とか。
豊洲へ移転してしまわないうちに、引っ越さねば・・・!

確かに、築地は市場以外は簡素な街だけど、川も海も近い。
銀座も近い!
以前住んでいた大阪の南森町周辺の雰囲気や要素が似ているように思う。
築地市場=天満市場、隅田川=淀川、銀座=北新地。
あと天神祭りみたいなのがあったらパーフェクト!

と思いつつ、不動産屋さんに行った。
築地は、今住んでいる駒沢公園周辺より安いらしいが、いかんせん物件の絶対数が少なく、いい物件に巡り合えるかどうかは運次第。
しかし、契約更新などで急いでいるわけでもないから、腰を据えて探すことにする。

7月20日(金)
部屋探しは、住宅情報雑誌やネットも活用しているが、やはり絶対数が少ないようで、なかなか当たりがない。

築地に限定すると難しそうなので、新富町、八丁堀まで範囲に入れた。
でも、駒澤大学周辺よりは比較的広い物件が多く、もしかしたら”古いけれど、広くて良さそうなの”があるかもしれないと、期待を抱いている。
早く引越したいのは山々だけれど、今度こそ「ここ!」という物件に巡り合いたいものだ。

7月21日(土)
休日の度に不動産巡りをしていると、日に焼けたような気がする。

今日見に行った物件は八丁堀。
とても古くて(古いのはいいのだが)、キッチンの横に給湯器(温水器?)が剥き出しでドーン。
キッチン自体もあまりの古さに驚いて、さんざん迷った挙句、断る。
広さと立地は申し分なかったんだけど。

その後、FAXで物件の図面を送ってもらっていた別の不動産屋さんに行く。
その物件は、
『築地駅から歩いて5分・36平米・4階・でも築23年&収納が全くない』
というもので、条件としては微妙なところ。
中が見たかったのだが、生憎管理会社が休みで内見できず・・・
その他に案内してもらった物件も気が乗らず、
私のノリが悪かったのか、不動産屋のお兄さんの対応もよろしくなく、疲れて果てて帰ってきた。

7月22日(日)
もう夏バテか・・・?
だるい体を引きずりつつ、10時に約束をしていた不動産屋へ行く。

いつものごとく、色々な物件情報を出してきてはくれるが、ちょっと狭かったり、高かったり、何にも考えていない設計だったり。
で、”今日はもうあかんかなー”とテンション下がり気味。
しかしそれも悔しいから、銀座のライオンズマンション(ちょっと高め、設計もよくない)を見に行ってみようかなー、
ついでに昨日管理会社が休みで内見できなかった他社の物件も見れますか?
と聞くと、やはりその管理会社は今日も休み。
「外からだけでも見ますか?」
ということで、外から見るだけの物件も含めて4軒見に行くことになった。

最初に行ったのは、外からだけ見る本命物件
『築地駅から歩いて5分・36平米・4階・でも築23年&収納が全くない』。
外観はかなり古い。そして汚れている。
「上へ行ってみますか?」
4階まで上がると、想像通りというか、可もなく不可もない共用部分。
ふーん、という気分でうろうろしていると、不動産屋のお兄さんが新聞受けをゴソゴソ。
「あまり見ないで下さいね。」と言って取り出したのは鍵。
ラッキーなことに内見できてしまった。
そして、肝心の中身。
築23年と聞いて及び腰だったが、入ってみたらなかなかいい!
改装真っ最中で、散らかってはいるが、広いし、明るいし、ガスキッチンだし、
バルコニー付きだし、フローリングだし(傷だらけだけど)、携帯の電波は3本立ってるし(これは重要)。

気に入った。
この部屋が私を呼んでいる〜。
収納が全くないのが引っ掛かっていたのだが、長く住むことを考えて家具を買おうと思った。
そして残り3軒の物件はパスして、不動産屋さんの事務所へ戻った。

しかし、問題が一つ。
もしかしたら私より早く申し込んでいる人がいるかもしれない、ということ。
そして、その結果は月曜日にならないと、わからない、ということ。
どうか私が一番でありますように!
祈るような思いで、申込書を書き、申込金を払ってきた。

そんなこんなで、住まい探しはとりあえず小休止となった。

7月23日(月)
3連休の後の仕事というのは、ノリ切れないものがある。

そして、この暑さ。今日は大暑だという。
朝の通勤地獄で、今週の体力を使い果たした。
そして、不動産屋の返事待ちで今週の精神力を使い果たしつつある。
昨夜なんて、何度目が覚めたことか・・・
平面図を眺めては、どこに何を置こうかとか、どんな家具にしようかとか・・・

お昼に電話があった。私は申し込みの2番手だった。
微妙なところだ。
私は幸運の女神の髪をつかむことができるのか?
1番手の方の確認が取れ次第、連絡が来るという。
忘れようと思って、一生懸命仕事した。
でも、頭の中は引越しで一杯・・・

7月25日(水)
不動産屋からまだ連絡がこないということは、
やっぱり、ダメなのか〜。
ショック・・・

7月26日(木)
ショック・・・
築地の物件、だめだった・・・

帰って寝る・・・

7月28日(土)
敗者復活戦だ。
今日も築地へ物件探し。
本日の不動産屋さんは、地元の親子でやっている小さな小さなところ。

あまりにも小さいので、「大丈夫かなー」とちょっと心配だったが、さすが、地元に店を構えているだけはある。
「とても気に入った物件があったんですが、申し込みが2番手でだめだったんです・・・」
開口一番にそう訴えると、担当のS氏が「それはウチが押さえたんですよ。」とのたまう。
「悔しい悔しい、、、」と地団太を踏んでいると、
「でも、申し込んだ人と連絡が取れないんです。31日が締め切りなんですけど。」
と仰るではないですか!
1番手の人がキャンセルになったら、必ず押さえてもらう約束をした。

その後、何軒か物件を見に行ったが、心ここにあらず。
本命物件の周辺をグルグル回った挙句、ついでに屋上にまで上がり、その後築地市場を覗いて帰ってきた。

喜怒哀楽の激しい1週間だった。(31日まで続くけど。)

7月31日(火)
仕事机の上の携帯が鳴る。
午前11時。築地の不動産屋S氏からだ。 結果はアウト。
振り出しに戻る。
ギリギリになって、申し込み一番手の人に連絡がとれたらしい。

8月18日(土)
今日も朝から不動産屋さんとデートだ。

午前中は既に申し込み済みの築地で、今度は申し込みが一番。
泣きをみることはない。
物件は、”築29年・14階建ての12階・隅田川沿い眺望抜群”マンション。
図面だけを見る限り、間取りが全く気に入らなかったのだけれど、”隅田川に面して眺望抜群”の文字に惹かれた。
そして、ホントに眺望抜群だった。

間取りは1SDKという、部屋なんだか納戸なんだかよくわからない3畳ほどの部屋+D+K。
使いにくそうだけど、14階建ての12階で風は抜けるし、
家賃は予定よりちょっと高いだけだし、なんたって築地だし。
ただ契約期間が2年で、その後延長できないかもしれないのが難点だった。
「何ヶ月か前に退去を通知してもらえれば必ず出て行くから、自動更新にして下さい!」
とお願いしてはみたけれど、ダメだった。
なぜなら大家さんが築地の海老屋さんで、資産としてこの物件を持っているそうで、
海老屋さんの商売がうまくいかないときは、すぐに売却したいからだそうだ。
「でも、大きなお店ですからそんなことはないと思いますよ。」
案内してくれた不動産屋さん・O氏のその言葉と共に景気回復を願い、
”築29年・14階建ての12階・隅田川沿い眺望抜群”に引っ越すことに決めた。

さあ、荷造り計画を立てようっと。

8月24日(金)
朝、会社へ行く前に今の家の管理会社に退去届を出してきた。
管理会社から出た途端、古い服を脱いだような気分になった。
いよいよ、だ。

この日の夜、銀座で行われるクリエーターの交流会に参加することになっていた。
銀座の街に着くと、”3週間後には、ここへ自転車で来れる生活が待っている”
そう思うと、嬉しくて仕方がなかった。
そんなハイな気持ちで会場へ向かう途中、見慣れない番号からの電話が入った。
駒沢の大家さんからだった。
長々と懇々と、引き止められた。

曰く、「不審な男とは、どんな感じか?いつ頃のことか?」
曰く、「それは、多分掃除をしに来た自分だ。」
曰く、「だから、心配ないから出て行かないでくれ。」と。
でも、”明け方に部屋の前に佇む大家さん”っていうのもどうなのよ。

交流会は始まっているのに、会場に入るに入れず困ってしまった。

9月9日(日)
昨日、今日とヒジョーに眠い休日だった。
「引越しの準備をしなければぁ〜、しなければぁ〜」と思いつつ、「まぁ、何とかなるやろ・・・」。
でも今日は、測量と称して引越し先へ行ってきた。
主要なところを測りまくって、家具の配置とかを決めたけれど、窓を開けたら涼しい風が吹き抜けて、
持ってきた本を読みながら、ウトウトしてしまった。
川風がこんなに気持ちいいものだとは思わなかった。
しかしその後駒沢まで帰らなければならないと思うと、とても億劫。
帰ってきてからは、ぼちぼち荷造り。
まぁ、何とかなるやろ・・・と。
この春に引越ししているから、今回は懐かしいものなどは出てこない。
だから、”いかに荷解きを楽にするか”を最優先に進める。
しかし、生活しながらの荷造りは面倒だ。

9月14日(土)
引越し屋さんには、朝10時に来てもらう約束だった。
だが、ピンポンが鳴ったのは9時半。
最後の片付けがまだできていないのに・・・、とも思ったけれど、一刻も早くこの家に別れを告げたかったので、
引越し屋さんのお兄さんと共に荷物を積み込み、彼らと荷物を見送り、
半年前と同じように空っぽになった部屋の掃除もそこそこに、築地へと向かった。

マンションの前まで来ると、引越し屋さんはすでに到着していた。
残暑厳しい真っ昼間、私は半分ダウンしていたが、冷蔵庫や、洗濯機、ソファ、本棚、書籍など重量物を
汗だくで12階まで次々と運び入れてくれた兄さんたちは、さすがプロ。
モノたちが配置に着くと、一応の体裁は整った。
窓からの川風が気持ちいい。
荷解きは後にして、さ、ビール、ビール。

9月15日(土)
引越ししました。

7月7日七夕の明け方、”変なおっさんに部屋を覗かれた”事件以来、
夏の暑さにも負けず、東京の家賃の高さにも負けず、
自分の都合のいいように客をあしらう不動産屋にも負けず、
タッチの差で申し込みに破れた自分にも負けず、
住まい探しを重ねた結果、念願の築地に引っ越しました。

ナゼ築地か?
それは魚河岸があるから。
大阪では天満市場が一番のお買い物スポットだった私には、
小洒落たスーパーは性に合いません
長靴に鉢巻のおっちゃんが、ゴツい自転車に乗って行き交い、
道路工事の警備のおっちゃんが「いってらっしゃい」と見送ってくれる。
築地はいい街です。

銀座まで歩いて20分。自転車で5分。
終電がなくなっても、まだ飲めます。




 
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