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  ■彷徨える賃借人  
   
   
 
巣づくり編
   
     
  ■1414 project  
   
   
   
   
   
     
神戸→南森町→駒沢→築地… 居酒屋住宅ができるまで。
3月5日(月)
早朝、東京・駒澤に到着。

積み込みに2時間かかった大量の荷物は、トラックから運び出されるのに1時間とかからなかった。
結構広いと思っていた部屋も、何十というダンボールに天井まで占領されると、私達の居場所はソファしかなくなった。
なにはともあれ、珈琲を淹れようと思ったけれど、まだガスが不通。
朝ごはんを買いに、表通りへ出た。
天気のいい朝だった。
その後、引越しの脱力感に襲われて、
だらだらと荷ほどきに手を付けた私を友人達が手伝ってくれ、
面倒だなと思っていたロールスクリーンの取り付けなどが着々と進むにつれて、徐々に気力も回復してきた。
が、「ほなそろそろ帰るな。」
そう言って彼らが関西へ帰ってしまった後の昼下り。
静かな部屋で、またもや脱力感に襲われた。

3月6日(火)
薄暗い部屋で目が覚めた。
5階建てのマンションが建っている。
このため、朝日は早朝に、ほんの少ししか差し込まないことがわかった・・・

天気もいいし、外へ出よう。そうだ、自転車を買いに行こう。
大阪で使っていた自転車は、友人に譲ってきたので、行動を開始するにはまず自転車が必要だった。
散歩がてらてくてく歩き、駒澤大学駅前の西友で、 ”一応3段変速”のママチャリを買った。
自転車通勤する予定。

坂といえば上町台地へ登る坂しかない大阪に比べ、東京は坂道だらけだ。
その自転車に乗り、区役所へ住民票の異動届を出し、運転免許の書き換えに行き、
三軒茶屋の無印良品で食器棚などを買って配送手続きを済ませ、
ついでに食料品と生活雑貨も買い込み、自転車の前かごを一杯にして帰ってきた。
そしたら、部屋はもっと暗かった・・・

3月7日(水)
昨日訪ねて留守だった大家さんちへ、もう一度ご挨拶に行った。
”大家さん”だけあって、大通りに面した立派なビルがご自宅だ。
やはり東京では、まだまだ『土地は金』なんや・・・、とそのビルを見上げて思う。
が、前日約束したにも関わらず、大家さんは「今病院に行っている」と娘さんが出てきて、おっしゃる。
ここでちょっと大家さんに対する不信感が募るが、粗品を手渡しながら笑顔で「また来ます」と言ってしまう店子の辛さ・・・
そんな店子は、帰り道に気になっていたパン屋さんで焼きたてのパンを買うと機嫌も直り、
珈琲を淹れて、午後からの大片付けに備えた。

片付けは、本棚とソファの配置が決まらないと始まらない。
底に”家具スベール”を取り付けてあるとはいえ、重い重い本棚をずるずると部屋1周分動かして(まるで猫が寝る体勢を決めるように)、
やっと位置を決め、雑巾掛けして、本をダンボールから取り出して入れると、少々筋肉痛。
洋服は収納力抜群のクローゼットにどんどん入れ、写真関連用品や絵の道具、ミシン、スポーツ用品なども
ダンボールの中を確認しただけで放り込んでいくと、部屋はかなり部屋らしくなった。

3月8日(木)
3月は春。だけど、寒い!
ここが東京だからなのか、それとも1階だからなのか、夜が底冷えする。
23区内の賃貸住宅では、石油を使う暖房器具は禁止、と言われていたので、
大阪で使っていた石油ファンヒーターを友人に譲ると、うちには暖房器具はない。
仕方なくエアコンをつけていたけれど、天井に近いところしか暖まらず、背中からぞくぞく冷えるのに根を上げて、
ひどい風の中大型量販電気店・コ○マまで自転車を飛ばした。
お目当てのガスヒーターは、しかし季節上は春だからか、空気清浄機に押され、隅の方へ追いやられていた。
しかも在庫がなく(コ○マのくせに!)、
メーカーからの取り寄せに1週間かかると言う。(コ○マのくせに!)
その上、店の兄さんの態度が悪かった。(コ○マのくせに!)

この時、私は殊勝にも
『この態度の悪さは、あたしの関西弁のせいかな。でもここでは2度と買わんぞ、関西人をナメたらあかん!』
と思っていた。
(東京生活も3ヶ月ほど経った頃、コ○マと○ックカメラは愛想が悪い、と友人に聞きいて関西魂に火が点いたのだけれど。)
ガスヒーターを手に入れられなかったショックにガックリしながら帰り、その日は台所廻りの片付けに手をつけた。
ら、これが終わらんのや・・・
台所用品というヤツは、なんであんなにコマゴマといろんなものがあるんやろう?

夕方、実家からはっさくの大箱が届いた。
これであたしのビタミンCは安泰。

3月9日(金)
昨日、一昨日を荷解きに費やした甲斐あって、残すはあちこちに積まれた食器類のみ。
これらの食器は、無印から今日届くことになっている食器棚に収まる予定だ。
その食器棚は、午前10時ジャストに来た。
雑巾片手にドアを開けるとすぐに、ちゃっちゃと運び込まれ、テキパキと組み立てられ、梱包材はすべて持ち帰ってくれた。
その見た目はコンパクトな食器棚は、かなりの収納力があり、お気に入りの繊細なガラスの器やグラスから
大皿、中皿、小皿、素焼きの大鉢、擂鉢、土鍋まできちんと収まった。
珈琲を入れ、一息ついて部屋を見廻すと、片付けはほぼ終了したようだった。
大容量の収納スペースのおかげで、部屋にあるのもはテーブルと本棚、ソファ、パソコンデスクだけになった。

窓からは、乾いた春の風が入ってきて気持ちいい。
そうや、裏の図書館に行って午後はゆっくり本を読もう。
ついでに隣のスーパーで、夕飯の買い物をしてこよう。
それから、”東京都23区指定ゴミ袋”とやらも買ってこよう。
こうして、私の東京生活が始まった。

しかし、まさか半年後にもう一度引越しすることになるとは、この時は考えもしなかったのだった。


巣づくり編 終わり
もっと東へ編へ
 
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